My sweet, hard life

【弔辞】ハウインターナショナル取締役CTO 高橋剛様へ

2018.04.12

子どもに物語を語るように、私に技術を教えてくれた

高橋さん。私が、高橋さんとはじめてであったのは16年くらい前でしょうか。

その頃、IT業界ではJavaが本格的に進出しはじめた時で、気がつけば自分がプログラマとして様々な現場にでるようになっていました。でも付け焼き刃の自分のスキルの限界を知っていた私は、毎日が綱渡りで、怖くて仕方ありませんでした。私が高橋さんと幕張の現場で一緒になったのは、そんな時でした。

ヒリヒリしていた私にとって、高橋さんの存在は、砂漠の中のオアシスでした。現場が変わってからも、私がチャットで技術的な質問すると、いつも丁寧に

  • なぜその技術が必要とされているのか
  • その技術はどんな課題を解決してどんな人を幸せにするのか

という背景から、子供に物語を語るように、私に技術を教えてくれました。

みんなが幸せになるために、技術者という仲間をたくさん育てたい

『なぜこの人は、こんなに溢れるような知識を持っているんだろう?なぜこの人は、こんなに丁寧に私なんかに教えてくれるんだろう?』

そんな私の疑問に、高橋さんは、こう答えてくれました。

技術者の仲間が増えて、良いサービスが生まれ、みんなが幸せになるのを見るのは、楽しいじゃないですか。

その時、私はやっとわかりました。高橋さんは、自分自身を守る術として技術を習得しているわけでも、自分が好きだからだけで技術を習得しているわけでもない。高橋さんは、みんなが幸せになるために技術者という仲間をたくさん育てたいんだ。だからこんなに豊かで深くて広いんだ。だから枯渇しないし、迷わないんだ。

「みんなが幸せになるために、技術の仲間を増やす」

という高橋さんの言葉に共感した頃から、不思議と私にも未経験者に技術を教える機会が増え始めました。私は意識して、高橋さんから技術を教わる際に教える技術も学ぶようにしました。

学んだことはたくさんありましたが、その中でも

  • フラットに公平に接する。
  • 否定しない。

ということの大切さを教えて頂けたのは、本当に僥倖だったと今でも思います。

『アジャイル開発』についてのやりとり

私と高橋さんとのやりとりは、ほとんどチャットでした。色々な技術について教えていただく中でも『アジャイル開発』についてのやりとりは今考えても本当にエキサイティングで楽しいものでした。私は高橋さんに了承を頂き、そのやりとりをリライトしてWebメディアに連載しました。連載の中の経験の浅い女性エンジニアにユーモアを交えて優しく説明する「高梨先輩」は、高橋さんがモデルです。それがちょうど3〜4年くらい前でしょうか。それがKindle書籍になり、それがきっかけで私は急に慌ただしくなりました。

ちょうどそのタイミングで高橋さんも海外の縁が深くなり、定期的に弊社に来て行ってくれた研修の機会も減りましたが、それでもやはり私はわからないことがあると質問し、高橋さんは気さくに教えてくれました。

そして年末のチャットでは、今マレーシアでブロックチェーンを教えているということや、夢が現実になりつつあるということ。そして

「今吉谷さんやフロイデさんが活躍してくれて嬉しい」

ということをいってくださり、これが、私と高橋さんの、最後のやりとりになりました。

志を持つということと、エンジニアとしての愛情のあり方

高橋さん、本当にありがとうございました。もしあの時高橋さんに出会わなければ、私はきっと今も毎日怯えて生きていたでしょう。 

「みんなが幸せになるために、技術者の仲間をたくさん育てたい」

と私に言ってくれた高橋さんから私が学んだのは技術知識だけではありません。私は、高橋さんから、志を持つということと、エンジニアとしての愛情の持ち方を学びました。

高橋さん。今、私の中には、高橋さんからいただいたまま返せないご恩がいっぱいで、はちきれそうです。それを少しでも返すため、私は、あなたの愛したハウインターナショナルという素晴らしい会社を盛り立て続けることと、

「みんなが幸せになるために、技術者の仲間をたくさん育てたい」

というあなたの志の実現に、尽力致します。だから、私がそちらに行ったら「吉谷さんが活躍してくれて嬉しい」と、また、私を、褒めてくださいね。

それまで、どうか安らかにお眠りください。

 

2018年4月12日 

フロイデ株式会社 代表取締役社長 吉谷 愛