INTERVIEW No02フロイデ副社長 瀬戸口将貴 × 村山由香里対談インタビュー

代表取締役 瀬戸口 将貴


20代で起業、
フロイデ株式会社の副社長として 新しいステージへ


2018年、フロイデ株式会社は、社長1人で経営してきた経営体制から大きく変化し、新たなステージへ飛躍の時を迎えていた。経営幹部を複数名採用、翌2019年7月、副社長に就任したのが、瀬戸口将貴、35歳。29歳で起業して上場を目指したが、5年で大手企業に売却。その後、いくつかの企業でアドバイザーや顧問契約し、その1つ、フロイデ株式会社社長の吉谷愛に三顧の礼で迎えられた。着任したばかりの若き後継者に、村山由香里がインタビューした。

仕事人生のスタートは、プロ雀士。

村山
20代で起業され、生き馬の目を抜くようなIT業界を、超スピードで駆け抜けて来られた瀬戸口さん、吉谷社長から「スゴイ人を副社長に迎える」とお聞きしていました。今日は、「瀬戸口副社長って、どんな人?」がテーマです。瀬戸口さんは、新卒からずっとこの業界ですか?

 

瀬戸口
僕、高専を3年で中退したんです。北九州高専だったんですが、卒業すると、ほとんどの人が大手メーカーのSEで就職する。僕はそんなのしたくないって思ったんです。その頃、いちばん興味があったのが麻雀。中退して雀荘に勤めながら、プロ試験を受けました。

 

村山
社会人スタートは、麻雀プロ? それはまたおもしろい経歴ですね。

 

瀬戸口
ところが、プロ試験に通ってこれからという時に、当時付き合っていた彼女との間に子どもができてしまって。

 

村山
おいくつで?

 

瀬戸口
19歳です。麻雀のプロで食べていける人は少数。あとは、雀荘でアルバイトしながら生計を立てて大会に出ます。相手の親から、結婚するならちゃんと社会保障のあるような会社に勤めて欲しいと言われて。「子どもを産むか、麻雀をやめるか」の選択を迫られて、就職したのが光通信系列の会社です。

 

村山
ちゃんと結婚されたんですね。それはよかった。しかし、光通信系列ですか…携帯電話販売で売上を上げて上場した会社ですよね、過激な営業の。

超絶ブラック企業で学んだことは。


瀬戸口
そうです。そうです。当時、東証一部に上場していましたが、携帯電話の寝かせ問題とかで叩かれて急降下して、その後、シャープの代理店事業として復活したんです。コピー機を売って。

 

村山
じゃあ、携帯を売っていたすさまじい営業マンたちがコピー機を売り始めたんですか? あの激しい営業で?

 

瀬戸口
はい。激しいですね。超絶ブラックです。OA機器の販売部隊に配属されて、そこで営業を学びました。

 

村山
どんな営業ですか?

 

瀬戸口
まっさらな電話帳のリストに、朝から晩まで電話かけてアポを取って訪問して、それを売るという仕事です。底辺の営業です。でも、おもしろかったんです。あの会社の企業文化なんですが、完全実力主義なんです。学歴とか年齢とか関係ない、数字の世界なので、売れば売っただけ役職も上がっていきますし、責任も給料も増えていく。それが自分にあってたんですね。

 

村山
一生懸命やれば報われるんですね。失礼ですが、お給料って、どのくらいだったんですか?

 

瀬戸口
プレイヤーでやっていた時は、一番良い時で、月250万円とか。

 

村山
(絶句!…) 月給が?

 

瀬戸口
入社して1年弱、19歳の時です。営業は、言ってみれば、押し売りですね(笑)。「印鑑押してもらうまで事務所を出るな」と教えを受けていたので。

 

村山
取れるものですか? コツは?

 

瀬戸口
取れるんですよね。コツは一言じゃ表せないですけど、熱意ですね。 コピー機なんてどこから買っても一緒じゃないですか。

 

村山
きっと、瀬戸口さんに「あなたから買いたい」と言わせる魅力があった。

 

瀬戸口
光通信は販売ノウハウが確立されていて、全国で何千人という営業マンが同じ商品を売るので、日夜営業トークが研究されていくわけです。それがネットワークを介して共有されます。営業マンは、僕も含めた「雑草」を採用して、売れるノウハウを叩きこんでいくんです。あの会社の強みは2つあって、1つは、顧客データベースに投資してすごい仕組みを作っていること。もう1つは、IT支援がすごかった。当時にしては珍しく、1人に1台パソコンが付与されていました。社内ネットワークを組んで、全国の営業マンのやり方やノウハウが常に情報共有できる仕組みが16年前に確立されていたんでいます。19歳から29歳まで10年いました。

 

村山
たとえブラックだろうと、どんな会社でも学ぶものはある、学べるかどうかはその人次第だと思っています。瀬戸口さんは、そこでITの最先端の仕組みを体感された。そして、営業の極意を学ばれたんですね。

 

瀬戸口
半年でチームリーダーになって、1年ちょっとでマネージャーになりました。チームリーダーで5人くらいの部下がいるんですが、マネージャーになるとチームリーダーを3人くらい抱えるので支店長みたいな扱いになります。マネージャーになると、プレイヤーとしては動きません。

 

村山
若くして部下を持ち、責任を持たされる、しかも給料は破格。人生間違いそうですね。

 

瀬戸口
若い時にそういう経験をすると勘違いするんですよね。それで一度失敗して22歳で離婚しました。

 

村山
早かったですね。今はお幸せそうでよかった。

勝機を見つけ、新規事業、そして起業へ。

村山
ずっと熊本にいらしたんですか?

 

瀬戸口
いえ、23歳で福岡本社に。親会社である光通信の子会社が上場を目指すことになって、管理部門を自社に持つことになり。私の会社は営業マンだけで、管理部門は親会社にあったんです。「誰がやってみるやついない?」と言われ、おもしろそうだなと思って手をあげたんです。僕一人で管理部門を立ち上げて、統括部長という立場で経験者を採用していきました。

 

村山
23歳で未経験分野の統括部長なんて、めちゃくちゃですね。しかも部下は年上で経験者なんて大変そう。

 

瀬戸口
部下が年上なのは、普通のことなんです。会社の文化なので、当時は、年齢に対して敬意を払うなんてなかったんです。自分の父親くらいの年齢の部下を呼び捨てにしてコキ使うわけですよ。その後、また営業職に戻って新しい支店を任され、そこが全支店の中でトップになり、営業部門の執行役員になりました。20代半ばでした。その仕事と並行して、新規事業をやるんです。

 

村山
目まぐるしい。どんな新規事業ですか?

 

瀬戸口
それまでは、ハードウエアを販売していたんですが、ソフトウェア販売の新規ビジネスです。当時、ASPやSaaSという、インターネットを通じてソフトウェアを動かす仕組みが出始めた頃で、今はクラウドと言われていますが、 グーグルとかエバーノートとかセールスフォースがその代理店になって顧客に応じてカスタマイズするというサービスです。

 

村山
なるほど。私もセールスフォースの導入を検討したことありますが、カスタマイズがめんどくさそうでやめてしまったことがあります。

 

瀬戸口
その事業を4年やって退職しました。もともと10年で辞めようと思っていたので。すると、その事業は立ち上げた私しかわからないので「その事業、やめちゃうよ。持っていったら?」と上司に言われて。

 

村山
いい会社ですね。部下も引き連れて辞めたんですか?

 

瀬戸口
上司に恵まれました。主要なエンジニア3人と4人でクラウディアジャパンという会社を29歳で設立。ソフトウエア販売というより、プラットホーム自体の利用料金をセールスフォース社にお支払いして、そのプラットホーム上でお客さんが必要なアプリケーションを作る、というビジネスを展開しました。5年で37名くらいになって、1年半前に上場企業に事業売却しました。

 

村山
売却のスピードも早い。

 

瀬戸口
その会社を上場させたかったんです。上場に向けて財務戦略を考えた時、ベンチャーキャピタルから資本を出してもらうより、事業会社と提携した方がシナジーを生むのではないかと思って、設立3年目くらいからテラスカイという上場会社と資本提携しました。結局、上場はせずに売却という形になりました。

 

村山
福岡にこんなすさまじいスピードで生き抜いてきた起業家がいらしたんですね。売却までにはいろんな思いがおありだったと思います。フロイデで、また新たなステージですね。

フロイデのビジョンに共感して。

村山
いくつかの企業で顧問などをされていて、今回、フロイデで、副社長という立場で、どっぷりここに関わろうと思った理由は何ですか?

 

瀬戸口
1年前から、そういう話を前提でオファーをいただいていました。最初、お断りしていた理由は、フロイデが欲している経営者像と私がマッチしているのかどうか、ピンときていなかったんです。責任あるポジションを安請け合いして、期待に応えられなかったら、私自身の問題だけでなく、お客さまや既存の社員にご迷惑をかけることになる。「がっつり、前と同じ熱量で仕事ができるのか?」を自分に問い、アンマッチしていないことを確信するための1年間。少しでも一緒に仕事すれば、人となりも見えてきます。この会社に私のような役割の人間が本当に必要なんだな、とわかったし、私自身もフロイデに役に立てると確信できました。1年後も気持ちは変わらず、オファーをいただいたので、決意しました。

 

村山
瀬戸口さんにとって、吉谷社長はどんな人ですか?

 

瀬戸口
経営者として尊敬しています。僕は経営者として5年しか経験ないけど、良い時も悪い時もあった。17年も続けて、すごいなと思います。しかも、お母さんでもある。でも、年齢も離れていますし、性別も違う、性格も全然違うんです。違うからこそ、化学反応が起こせるのではないかと思っています。 そして、ビジョンに共感しています。

 

村山
「無職、フリーターを1000人技術者にする」というビジョンですね。

 

瀬戸口
はい。フロイデのビジネスは知らなくても、ビジョンは前から知っていて、すごい共感していたんです。僕のルーツは、決していい出ではなく、学歴もない自分にチャンスを与えてくれる会社があったわけです。自分で会社を作った時も、色眼鏡なく、優秀な人間にはチャンスを与えたいなと思っていた。

 

村山
IT業界で、武器を身につけ、這い上がってこられた。瀬戸口さんご自身 がフロイデのビジョンの象徴みたいなものですよね。会社の理念に身をもって 共感していらっしゃることは、吉谷社長にとっても心強いですね。

 

瀬戸口
この1年、一緒に仕事させてもらう中で、そのビジョンを真剣に追いかけている会社だということがわかったし、私なりのやり方でその実現をお手伝いできるんではないかと思っています。

ビジネスモデルを変化させ続け、持続可能な会社に

村山
フロイデで、これからどんなことに取り組みたいと思っていますか?

 

瀬戸口
吉谷さんの思いがあって、ここまで形になっている会社です。コアな部分は、僕も共感しているので、大事に育てていきたいと思う。家族に対しての愛情や、社員が生活していくうえで、仕事だけでなく自分の時間も持てることを大事にしていることなど。それを実現するためには、持続的なものにしていく必要がある。IT業界は変化が激しいし、ビジネスモデル自体を変化させ続けていないと継続していかない。

 

村山
本当ですね。私も、紙媒体の世界で落ちていくのはわかっているのに、変化させきれずに終わった経験をして、その難しさもよくわかります。外部環境や経済の状況をどうキャッチして自らビジネスを変化させるか、重要ですね。

 

瀬戸口
IT業界は、いまは売り手市場で、エンジニアが足りなくて仕事はたくさんあるんです。仕事を取ることには困らない。むしろ、仕事はあっても人がいないから受けられないような状態なんです。

 

村山
じゃあ、営業をバリバリしなくてもできるんですね。

 

瀬戸口
市況としては、ただ、これがずっと続くわけがない。そうなった時、 エンジニアがあぶれ、競争が始まる。価格や技術力が差別化ポイントになってきた時に、生き残れるのか。価格が下がると給料に反映させなきゃいけなくなる。理想の生活スタイルとか、社員の人たちに幸せを感じてもらえなくなる危機感を強烈に持っているんです。

 

村山
うまくいっている時に先を考えて、先手を打ち変えていく、ということですね。それはビジネスの理想です。それができるのならすごいです。

 

瀬戸口
吉谷さんは、いままでの成功体験を維持することはできても、変化させることは難しいと思われたのかもしれません。僕は、これから変化していくことにあまりリスクを感じていない。そういった部分を担っていきたいなと思っているんです。

 

村山
若い世代に事業継承をするとはこういうことなんですね。吉谷さんも充分若いと思うのですが。どんな計画なんですか?

 

瀬戸口
急激な拡大を考えているわけでなく、今いる社員たちのレベルを1ランク上げる環境づくり。社員のレベルを上げることは顧客満足につながります。 これからプログラムの世界もどんどん自動化されていくので、いままでは仕事になっていたことがこれから仕事じゃなくなっていく、その時に、「その人でないとできない仕事」であるためには、ビジネススキルが必要です。

 

村山
フロイデの強化すべき部分も見えているんですね。

 

瀬戸口
はい。問題は特定していて、解決策も予想はしています。が、こればっかりはやってみないとわからない。それがワクワク。自信はあります。

 

村山
変化の時って、社内にさざ波が立ってギクシャクすることもありますよ。

 

瀬戸口
どう考えてもいい方向に変えられると思っていますから。

 

村山
それを自由にやってほしいと吉谷さんは言ってくれるんですね。

 

瀬戸口
フロイデにとって理想的未来につながっていると確信が持てている間は、任せていただけるんじゃないかと思う。理念とそぐわないと思えばストップがかかると思うし。

 

村山
エンジニアのレベルを上げろということですが、どうやったら、レベルが高いエンジニアになれるんですか?

 

瀬戸口
どんな仕事でも同じだと思っているんですが、人はいいお客さまと出会って、いい仕事をしていかないと成長しないじゃないですか。これがすべてだと思っているんです。会社はその機会を与えることしかできないんですね。

 

村山
いいお客さまと出会って、レベルの高い仕事を経験することで成長する、本当にそうですね。仕事を通して成長を実感できることが、モチベーションにも繋がりますね。

 

瀬戸口
成長の機会を与えられる会社になるためには、お客さまを大事にして、価値を提供できる会社になること。それが僕の仕事だと思っています。

 

村山
では、最後に瀬戸口さんが仕事をする上で大事にしている言葉、座右の銘を教えていただけますか?

 

瀬戸口
座右の銘は「夢中」です。

 

村山
ありがとうございました。これからのフロイデを楽しみにしています。

フロイデ株式会社 取締役副社長
瀬戸口将貴(せとぐち・まさたか)

大手通信会社に入社し、法人営業部門の取締役として2008年よりクラウド事業に着手。導入一年で前年比132%アップを実現し、その実績を見込まれてセールスフォース九州ユーザー会会長に就任。2013年にセールスフォースやグーグルなどの、クラウドに特化したシステム開発を行うクラウディアジャパン株式会社を設立。九州を中心にクラウドサービスの普及を推進する。2017年に同社を上場企業へ売却して代表取締役を退任後、RPAエバンジェリストやコンサルタントなどを経て、2019年07月01日、フロイデ株式会社の取締役副社長に就任。

 

株式会社フロイデール WEBプロダクション編集長兼チーフインタビューアー
村山由香里(むらやま・ゆかり)

25年続き、福岡、北九州、熊本で発行した情報誌『アヴァンティ』では、「働く女性を応援する」をコンセプトに地元女性の生きる働く「いま」を取材し、時代の息吹を伝えた。2010年より福岡県男女共同参画センター館長として、次世代女性リーダー養成講座「ふくおか女性いきいき塾」の開催や、センターと経済界の連携など、男女共同参画で先駆的な取り組みを実施。現在は、講演、執筆活動に加え、刺激とつながりの場「天神キャリア塾」をスタート。

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